愛猫の唇やウィスカーパッド(ひげの根元から頬)が赤く腫れているのを見て、驚いたことはありませんか?
「痛がらないし、元気だけなんだけど。。。口内炎かな?」と思って見守っていたけれど、なかなか腫れが引かない…そんな経験のある飼い主さんも多いのではないでしょうか。


毛で分かりにくいですが、右上唇~頬にかけて赤く腫れています。
このブログでは、エキゾチックショートヘアの女の子「にゃーくん」が生後5か月頃~1歳頃まで体験した、“唇や肉球が突然腫れる”という不思議な症状について綴っています。
見た目は痛々しいのに、にゃーくん本人は気にする様子もなく元気いっぱい。最初はどこかに唇ぶつけちゃったのかな。と心配していました。後に「好酸球性肉芽腫症候群」という少し聞き慣れない診断がつきました。
本記事では、そんな異変のはじまりから、受診、診断に至るまでの経過を実体験を通して紹介しています。
「うちの子の腫れも、もしかして?」と思ったとき、少しでも参考になれば嬉しいです。

1歳すぎてからは症状は一度も出ていません。
少しずつ食事も自由度が上がってきています。
目次
肉球がぱんぱん!左前脚に異変
エキゾチックショートヘアのにゃーくんが、生後5か月を過ぎたころのこと。
左前脚の肉球をよく舐めていたので、確認すると肉球がぱんぱんに腫れているのを発見しました。普段の肉球には少ししわが入っているくらいの柔らかい状態ですが、しわが無くなり3割程度大きくなっていました。
膿や熱を帯びている感じはなく感染症ではない様子でした。
肉球以外の症状は特になく元気いっぱい、食欲もあり、ダッシュ後の急ブレーキも平気でした。

ネットで検索すると形質性細胞性肢端皮膚炎や、癌などが出てきたため
どんどん不安に。
かかりつけの獣医さんが予約を取れなかったため、近所の獣医さんに相談しました。
診察では「この症状は初めて見た、痛がってもないね、形質性細胞性肢端皮膚炎かがんかは分からない。薬を塗って経過を見ましょう」と言われ、塗り薬を処方されました。
その時のお薬「犬・猫用フルオロキノロン系抗菌剤 ビクタスSMTクリーム5g」

主成分はこちら↓

オルビフロキサシンは動物用のキノロン系、広範囲の菌に有効です。適正使用しないと耐性菌発生するので注意が必要ですね。
ミコナゾール;¥真菌(カビ)の増殖を抑えてくれる抗真菌薬です。皮膚や粘膜の真菌症、例えばカンジダ症や白癬(水虫)などの治療に使用されます。

抗生剤+抗真菌薬 →『とりあえず菌を叩いて炎症が治るか見てみましょう。』ってことかな?
塗布した薬は舐めてしまうので塗布後1時間だけ包帯を巻き浸透させる。といった処置を1日2回していました。
アレルギーのような症状だけど、抗生剤でいいのかな。。。と思いながら経過をみることに。
緊満感は少しずつ減り、張り詰めていた肉球の皮がゆっくりふやけて1週間ほどで瘡蓋(かさぶた)へと変化しました、瘡蓋が取れるとともに腫れも引いていきました。
腫れに気がついてから1か月程度で綺麗に完治しました。
反対側の肉球も?同じような経過が続く
左前脚が完治した頃、今度は右前脚の肉球が腫れてきました。
同じように瘡蓋ができ、前回いただいた薬を塗っていました。瘡蓋が出来た時点でいつものかかりつけの動物病院の予約がとれたので受診。
アレルギーの可能性を示唆されましたが、この時は下痢や血便も出ていたため、肉球の処置自体は瘡蓋を除去等するのみ最低限で終わりました。
「犬・猫用フルオロキノロン系抗菌剤 ビクタスSMTクリーム5g」は中止の指示をいただき少し負担が減りました。
7か月頃、唇に異常が
肉球の症状が落ち着いてきた生後7か月の頃、目やに掃除をしていたときです。唇が少し腫れているように感じて少しめくって見てみると、うっすら潰瘍のようになっていました。


口内炎かな?少し様子を見ていると2日後には下唇に広がりぷりっと大きく腫れあがっていました。


腫れがひどいため口がよく開いていました。(エキゾチックショートヘアはもともとよく開いているのですが)それでも食欲や元気は変わらず、痛みもなさそうでした。念のためかかりつけ医を再受診することに。
初めての診断:「好酸球性肉芽腫症候群」
ここで初めて獣医さんから「好酸球性肉芽腫症候群(EGC)」と診断されました。
獣医さんのガイドラインが載っている大きな本を見せてもらうと、にゃーくんと同じ症状の猫ちゃんがたくさん写っていました。原因は明確には分からず、アレルギー・免疫異常・ストレスなどの複合的な要因が考えられるとのこと。
治療としては、ステロイド(プレドニゾロン錠1mg・1回0.5錠)を2週間服用。
そのほか、療法食(ロイヤルカナンの獣医師専用食)への切り替えと、おやつの中止を指示されました。
見た目は痛々しいけど…
上唇にとどまらず、ウィスカーパッド(ひげの根元から頬)まで赤みが広がり、見た目は少し痛々しい状態に。
それでもにゃーくんは気にする様子もなく、元気いっぱい!こんなに腫れているのに痛くないのが本当に不思議でした。
治療後の経過と一時的な改善
唇に症状が出てから約1か月半で赤みもおさまり、炎症も落ち着いてきました。
ステロイドは2週間程度服用し、その後一旦中止に。
ステロイドの効果+おやつ禁止+獣医指定のロイヤルカナンのおかげで、症状は一旦改善!食事療法は継続しました。初期症状から約4か月とても心配な日々でしたがどこも腫れていないにゃーくんを見るととっても嬉しかったです。

治療期間中お風呂はお休みしていました。
猫の「好酸球性肉芽腫症候群」ってどんな病気?
好酸球性肉芽腫症候群(Eosinophilic Granuloma Complex / EGC) は、猫によく見られる皮膚や粘膜の炎症性疾患のひとつです。
名前は難しそうに見えますが、実はそれほど珍しい病気ではなく、特に若い猫やアレルギー体質の猫によく見られます。
- 好発年齢: 1歳未満〜中年齢まで幅広く報告がありますが、子猫〜若猫(6か月〜2歳)での発症が多いとされています。
- 性別: 男女差は大きくありませんが、ややメスに多い傾向があるとされています。
- 発症頻度: 特に短毛種やアレルギー体質の猫でよく見られます。
- 原因: ノミ、食物、環境アレルゲン、ストレス、免疫異常など、複数の要因が絡み合って発症すると考えられています。

好発年齢、性別、消化器にもアレルギーがあった私、この家に引っ越した環境変化のストレス。今思えば全て該当しているにゃ。
どんな症状が出るの?
EGCにはいくつかのパターンがあります。
- 好酸球性潰瘍(ロッド潰瘍): 上唇にできる潰瘍。赤くただれているが、痛みはあまりない
- 好酸球性肉芽腫: 主に皮膚や口の中、太ももや肉球にできる硬く盛り上がったしこり
- 好酸球性プラーク: 皮膚にできるかゆみを伴う赤い湿疹
にゃーさんの場合は、上記症状全て出ていたため、複合型のEGCだった可能性があります。

悲しいコンプリートにゃ。
治療と治癒の見込み
完治する場合もあれば、再発を繰り返しながら“体質として付き合う”ケースもあります。
治療の基本はステロイド(プレドニゾロンなど)で炎症を抑えます。
原因が食事である可能性がある場合は、療法食への変更やおやつの中止が必要になることもあります。
症状が軽い場合は、自然に回復するケースもあります。
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